偏った小説

小学生の時に「少年探偵団」にはまり、「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもんで私の読書人生はミステリーまっしぐらです。

「怪人二十面相」怪人二十面相―少年探偵 (ポプラ文庫クラシック) 小学生の時に初めて手にした探偵小説。その後大人になって大人向けの江戸川乱歩作品もたくさん読みました。今更な感じなので多くは語りませんが、独特の語り口、ネオンなど皆無に等しい暗い夜の世界を易しく想像できる文章力はどうしようもなく「すごい」の一言。 当時、魅力溢れる明智探偵の助手を務める小林少年に強く憧れたものです。冒頭の通り私の読書人生を大きく偏らせた珠玉の一冊です。
「放課後」放課後 (講談社文庫) 私が中2の時に出会った初めての東野圭吾作品です。もちろん「秘密」、「ガリレオ」も出てない頃、周りで知っている人も全然いませんでした。 私が文系人間のせいか、理系の人に弱いので、東野作品に多く登場するストイックな理系タイプのキャラクター達がとても魅力的です。私のお気に入りは加賀恭一郎です。
「模倣犯」模倣犯〈上〉 刊行当時に値段を見ずにレジに並び、清算の時にひるんだ本です。上下ともちゃんとその時買いましたが。上下巻合わせて1400ページに及ぶ長編ですが三日で読んでしまった覚えがあります。加害者、被害者、それらを取り巻く人々や社会を凝縮した読み応えのある作品です。人物描写に際立った好きな作家の一人です。
「家族狩り」家族狩り オリジナル版 元は好きな俳優が出演していた「永遠の仔」をテレビで見て知った作家さんです。どの作品にも共通しているのですが作者の真面目さ、真摯さが伝わる作品です。単行本版と文庫版ではかなり改編されていて結末も違っているそうです。私はまだ単行本でしか読んだことがないので近く、新たな作品として読んでみたいです。
「銀河英雄伝説」銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫) 中学3年の時、受験真っ盛りな中、塾の先生に貸してもらって読んだシリーズです。外伝も含めノベルとはいえ当時14巻もある本を受験生に貸しちゃう先生にも笑える思い出です。ジャンルとしては「SF」「スペースオペラ」となっていますがSF要素はかなり薄く、民主主義、専制君主国家のイデオロギーであったり、それぞれの長短を比肩したりと、まさしく架空の歴史小説と言えるストーリー。同盟軍の主人公、ヤン・ウェンリー、帝国軍の主人公、ラインハルト・フォン・ローエングラムをはじめとする、両国共に魅力あふれるキャラクターが多く、ただの勧善懲悪に留まらない名作です。お気に入りは照れ屋なヤンさん。
「羊たちの沈黙」羊たちの沈黙 (新潮文庫) 映画化されてそれを観る前に読んだ作品です。犯罪心理学やプロファイリングが持て囃された時期です。残虐的な描写が注目されがちですが、天才である殺人者レクター博士を否定しながらも惹かれてしまうクラリスの葛藤など登場人物の心理的な「揺れ」が魅力的な作品です。
「十角館の殺人」十角館の殺人<新装改訂版>(講談社文庫) 叙述トリックと大どんでん返しの好きな人にはお勧めの作家さんです。新本格推理というジャンルの立役者の一人でもある。
「衝撃の一行」で有名な古典的な推理小説。館シリーズの第一作目、推理小説が好きな人なら必ずはまる一冊です。
「リング」リング (角川ホラー文庫) 1995年に制作、放送されたテレビドラマで初めて観て読みました。こちらのドラマ版、原作から入った人には映画版は酷評されています。私も原作が一番怖いと思ってます。なにわともあれ「ジャパニーズホラー」の火付け役になった作品には違いないですね。全4部作となっていますが, 作を追うごとにホラーとしての趣が違ってくるので賛否両論のシリーズです。余談ですが「仄暗い水の底から」も日本とハリウッドで映画化されていますが、ハリウッド版のほうがホラーとしては良かったです。